この記事は、施設を考え始めた家族が「年金で足りるか」を確かめるためのものです。先に結論を書きます。特養や老健の費用は 4 つに分かれていて、そのうち食費・居住費と、介護サービス費の 1 か月の合計には、所得に応じた上限があります。 条件を決めるのは、世帯の住民税と預貯金です。金額は厚生労働省の通知の値で、2026 年 8 月の見直しの後の内容です。出典は記事の末尾に置きました。
施設探しの相談 70 件で、費用の話は 3 番目
当サイトの集計で、施設を探すかどうかの相談は 70 件でした。いちばん多いのは「施設の種類と、どこを選ぶか」。費用やお金のことは 3 番目です。 種類と、きょうだいとの分担の次に、お金の心配が来ています。
ただし、金額は数えていません。相談に出てくる額が、月額か入居金か年金か、語だけでは分けられないからです。この記事の金額は、すべて厚生労働省の資料から取りました。
施設の費用は 4 つに分かれる
特養や老健など介護保険施設の費用は、次の 4 つです。厚生労働省の解説は、介護サービス費の自己負担が「1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)」で、そのほかに「居住費、食費、日常生活費の負担も必要」と書いています。
| 部分 | 中身 | 軽くなる仕組み |
|---|---|---|
| 介護サービス費 | 介護にかかった費用の 1〜3 割 | 高額介護サービス費(1 か月の上限) |
| 居住費 | 部屋代と光熱水費。部屋の種類で違う | 負担限度額認定 |
| 食費 | 1 日あたりで決まる | 負担限度額認定 |
| 日常生活費 | 理美容代など。施設ごとに決める | なし |
居住費と食費は、所得が低い人ほど大きく軽くなります。介護サービス費のほうは、1 か月の合計に上限がある形です。日常生活費だけは別です。軽減がありません。
食費と居住費が軽くなる条件 3 項目
負担限度額認定を受けられるかは、次の 3 つで決まります。1 つずつ確かめます。
1. 世帯全員が住民税非課税か
対象は、世帯の全員が市町村民税非課税の人と、生活保護を受けている人です。世帯を分けている配偶者も含めて見ます。世帯に 1 人でも課税されている人がいれば、軽減の対象になりません。
2. 預貯金が決められた額以下か
段階ごとに預貯金の上限があります。単身なら第 2 段階で 650 万円、第 3 段階①で 550 万円、第 3 段階②で 500 万円まで。夫婦ならそれぞれ 1,650 万円・1,550 万円・1,500 万円までです。 所得だけでなく、預貯金も見られます。
3. 使う先が特養・老健・介護医療院か、ショートステイか
負担限度額の表が示されているのは、特養・老健・介護医療院と、ショートステイです。有料老人ホーム・サ高住・グループホームは表にありません。 申請先はお住まいの市区町村で、認定を受けて初めて軽減が使えます。
2026 年 8 月からの負担限度額
段階は、年金の収入と、そのほかの所得の合計で分かれます。第 2 段階は 82.65 万円以下、第 3 段階①は 82.65 万円を超えて 120 万円以下、第 3 段階②は 120 万円を超える人です。非課税の年金も含めて数えます。 特養の多床室を使うときの 1 日の上限は、次のとおりです。
| 段階 | 食費(1 日) | 居住費・特養の多床室(1 日) |
|---|---|---|
| 基準の額(軽減なし) | 1,545 円 | 915 円 |
| 第 1 段階 | 300 円 | 0 円 |
| 第 2 段階 | 390 円 | 430 円 |
| 第 3 段階① | 680 円 | 430 円 |
| 第 3 段階② | 1,420 円 | 530 円 |
居住費は部屋の種類で違い、個室ほど高くなります。ユニット型個室の基準の額は 1 日 2,066 円です。ショートステイの食費は、段階によって施設とは別の額になります。 2026 年 8 月から、第 3 段階の食費が 1 日 30〜60 円、一部の居住費が 100 円上がりました。
1 か月の自己負担の上限。高額介護サービス費の 5 段階
介護サービス費の自己負担には、1 か月の上限があります。段階は 5 つです。世帯の合計が上限を超えると、超えた分が介護保険から支給されます。厚生労働省の資料の上限額は次のとおりです。
| 区分 | 1 か月の上限 |
|---|---|
| 課税所得 約 690 万円以上 | 世帯 140,100 円 |
| 課税所得 約 380 万円以上 690 万円未満 | 世帯 93,000 円 |
| 住民税が課税される世帯(約 380 万円未満) | 世帯 44,400 円 |
| 世帯全員が住民税非課税 | 世帯 24,600 円 |
| 生活保護を受けている人など | 個人 15,000 円 |
世帯非課税のうち、年金の収入とそのほかの所得の合計が 82.65 万円以下の人は、個人の上限が 15,000 円です。この線は 2026 年 8 月に 80.9 万円から見直されました。上限を超えた分は、介護保険から支給されます。受け取りの手続きは市区町村で確かめてください。
有料老人ホームとサ高住は別の仕組み
ここは仕組みが違います。有料老人ホームとサ高住の家賃・食費・管理費は、ホームとの契約で決まります。負担限度額認定の表にはありません。高額介護サービス費は、介護保険の介護サービスの自己負担にかかる上限です。介護付き有料老人ホームの介護は、介護保険の「特定施設入居者生活介護」というサービスにあたります。 入居一時金がある場合は、入居から 3 か月以内の退居なら実費を除いて全額が戻る、と法律で決まっています。
当サイトの集計で、有料老人ホーム・サ高住の相談は 39 件。費用やお金のことは上位 4 つに入っています。並びは有料老人ホーム・サ高住の話題に置きました。
今は施設に移らない人へ。ケアマネ・包括の相談 211 件
上限は家でも同じです。家での介護を続けるときも、介護サービス費の 1 か月の上限は同じように使えます。費用の相談をどこにすればよいか分からないときは、担当のケアマネジャーか地域包括支援センターが入り口です。 当サイトの集計で、ケアマネと地域包括支援センターの相談は 211 件。いちばん多いのは「ケアマネや施設とのやりとり」でした。 施設の種類の違いは特養・老健・有料老人ホーム・サ高住の違いに書きました。