介護の分かれ道

要介護認定の区分変更を考えたら。認定調査の前に書き出す 5 つと申請の流れ

公開 ・ 介護の分かれ道 編集部

「要介護認定と区分変更」の相談 63 件。「使える条件と、要介護度のこと」と「手続きや制度の使い方」が、ほぼ同じ件数で上位 2 つ
  1. 1使える条件と、要介護度のこと
  2. 2手続きや制度の使い方
  3. 3家族やきょうだいとの分担
  4. 4体調や病気、薬のこと
  5. 5本人が嫌がる。どう話せばよいか

件数は補正後(無作為に 30 件を抜いて判定した当たりの割合で直した値)。並びは順位だけで、差の大きさは示していません。1 番目と 2 番目の差はごくわずかです。 区分変更で要介護度がどう変わったかの結果は数えていません。数え方はこのサイトの数え方。

この記事は、親の状態が変わってきて、今の要介護度でサービスが足りるのか迷っている家族に向けたものです。先に結論を書きます。状態が変わったなら、次の更新を待たずに区分変更を申請できます。ただし、申請すれば要介護度が上がる、とは限りません。判定の材料は、認定調査と主治医の意見書。だから調査の前に、ふだんの様子と介護の手間を数で書き出しておくのがいい。内容は 2026 年 9 月時点の法令と厚生労働省の資料、当サイトが数えた家族の介護相談によります。

認定と区分変更の相談 63 件。要介護度のことと手続きのことが、ほぼ同じ件数で上位 2 つ

当サイトの集計で、要介護認定と区分変更の相談は 63 件でした。上位 2 つは「使える条件と、要介護度のこと」と「手続きや制度の使い方」。この 2 つは、ほぼ同じ件数です。 続いて「家族やきょうだいとの分担」「体調や病気、薬のこと」。5 番目に「本人が嫌がる。どう話せばよいか」が入っています。

要介護度と手続きが並ぶ。家族が迷っているのは、今の区分で何が使えるのかと、どう申請するのか。この記事はその 2 つに絞りました。本人の前で言いにくいことの伝え方は、下の 5 項目の 4 つめに書いています。 並びは要介護認定と区分変更の話題に置きました。

区分変更は有効期間の途中でも出せる。有効期間が終わる日の 60 日前からは扱いが変わる

介護保険法 第 29 条は、介護の必要の程度が今の区分とは違う区分に当たると考えるとき、区分の変更を申請できると定めています。有効期間の途中でもかまいません。江東区の案内も、心身の状態が大きく変わったときは「更新時期を待たずに」申請できると書いています。

迷いやすいのは、次の更新が近いときです。

今の状況考え方
有効期間が終わるまで 60 日より長い区分変更を申請できる。判定が出るまで、平均でひと月あまりかかる
有効期間が終わる日の 60 日前から当日まで更新の申請ができる期間に入っている。この間に区分変更を出し、区分を変える必要がないと判定されたときは、更新の申請として扱われる
今は要支援の認定江東区の案内では、要介護の認定の新しい申請として扱う。申請書は区分変更のものを使う

有効期間の長さは、介護保険法施行規則で決まっています。新規の認定は原則 6 か月、更新は原則 12 か月。どちらも市区町村が、専門家の意見をもとに短くも長くもできます。 区分変更の申請書には、今の区分と有効期間の満了日を書く欄があります。満了日は、申請の前に手元の書類かケアマネに確かめてください。

申請から判定まで。法律は 30 日以内、全国平均は 39.9 日

区分変更の申請から結果の通知まで
  1. 申請
    市区町村の窓口へ。ケアマネの事業所や地域包括支援センターが代わりに出すこともできる
  2. 認定調査
    調査員が本人に会い、本人と家族から聞き取る。依頼から実施まで平均 11.1 日
  3. 主治医の意見書
    市区町村が主治医に意見を求める。依頼から入手まで平均 17.9 日
  4. 一次判定
    調査の結果などをもとに、コンピュータで判定する
  5. 二次判定
    保健・医療・福祉の専門家の会議が、一次判定と意見書などをもとに決める。申請からここまでの全国平均は 39.9 日
  6. 結果の通知
    法律は申請から 30 日以内。認定は申請した日にさかのぼって効く

流れは介護保険法 第 27 条・第 29 条と厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」によります。日数は厚生労働省が公表した令和 6 年度の申請分の全国平均で、新規・更新・区分変更を合わせた値です。市区町村によって違います。

介護保険法 第 27 条は、申請のあった日から 30 日以内に結果を出すよう定めています。区分変更にも同じ条文が使われます。調査に日数がかかるなど特別な理由があれば、見込みの期間と理由を知らせたうえで延ばせる決まりです。

実際はどうか。厚生労働省が公表した令和 6 年度の申請分では、申請から二次判定までの全国平均が 39.9 日でした。30 日以内に収まったのは 22.8%。新規・更新・区分変更を合わせた数です。ひと月あまりかかる前提で、その間のサービスの組み方を担当と決めておくと慌てずに済みます。

いちばん日数がかかっていたのは主治医の意見書で、依頼から入手まで平均 17.9 日。厚生労働省の事務連絡には、外来を受ける時期と市区町村からの依頼の時期が合わないと日数がかかる、という医療機関の声が載っています。次の受診のときに、区分変更を申請するつもりだと主治医に伝えておくとよいでしょう。

認定調査の前に書き出すこと 5 項目

要介護度は、原則として介護の手間の量で判定されます。厚生労働省の解説は、要介護認定は介護サービスの必要度を判断するもので、病気の重さと要介護度の高さは必ずしも一致しない、と書いています。 認定調査の基本調査は 74 項目。書き出すのは、その手間が調査員に伝わる材料です。全部でなくてかまいません。

1. 何が、いつから変わったか

区分変更の申請書には、心身の状況の変化など、申請の理由を書く欄があります(介護保険法施行規則 第 42 条)。「3 月に転んでから、1 人でトイレに行けなくなった」のように、きっかけと時期を 1 行で書いておきます。

2. 手間がかかる場面と、その回数

厚生労働省の認定調査員テキストは、「ときどき」「頻繁に」のような人によって量が違う言葉ではなく、「週に 2、3 回」のように数で頻度を書くよう調査員に求めています。家族の側も数で言えるほうが伝わる。 夜中に起こされる回数、トイレの失敗、同じことを何度も聞かれる回数。1 週間ぶんメモを取っておくと、そのまま渡せます。

3. 調査の日と、ふだんの違い

調査の日だけ、本人がしっかり受け答えすることがあります。テキストは、多くの項目では、その日の様子がふだんと違うときは、おおむね過去 1 週間でより多く見られた状況で選ぶとしています。徘徊などの行動の項目なら、おおむね過去 1 か月の頻度が基準です。「できる日もあるが、たいていはできない」なら、そのとおりに伝えてかまいません。

4. 本人の前では言いにくいこと

テキストは、本人と介護者の双方から聞き取るよう努め、必要なら別々に聞く時間を設けるよう工夫する、としています。本人の前で話しにくいことは、先にメモにしておくと渡しやすい。 家族が立ち会える日に調査を入れてもらうことも頼めます。テキストは、介護者がいる家では、介護者が不在の日を避けるよう書いています。

5. 主治医に伝えておきたい変化

意見書は主治医が書きます。転んだ回数、食事の量、夜の様子。主治医が知らない変化は、意見書に書きようがありません。次の受診で短く伝えるか、メモを渡しておきます。医療の判断そのものは主治医の役目です。

区分変更で、要介護度が上がるとは限らない

判定は、調査の結果と意見書をもとに、全国一律の基準で行われます。判定に使う時間は、家で実際にかかっている介護の時間とは別のものさしです。判定の結果、今と同じ区分のままのこともある。介護保険法施行規則 第 42 条 4 項が決めているのは、有効期間が終わる日の 60 日前から満了日までに区分変更を出した場合。区分を変えなくてよいと判定されたら、更新の申請として扱われます。

今より軽い区分になることも、仕組みの上では起こり得ます。介護保険法 第 29 条が申請の条件にしているのは、今の区分「以外の区分」に当たると考えること。上がる向きに限っていません。判定は、同じ条の 2 項で使われる第 27 条のとおり、国の基準に従って改めて行われます。 さらに第 30 条は、介護の必要の程度が下がったと市区町村が認めるときは、市区町村の側から区分を変えられると定めています。

気をつけたいのは、結果が出る前にサービスを増やすときです。認定は、申請した日にさかのぼって効きます。家で使うサービスには要介護度ごとに 1 か月の上限(支給限度額)があり、超えた分は全額が自己負担です。 結果が思ったより軽い区分だと、増やした分が上限を超えることがあります。増やす量と時期は、担当のケアマネジャーと先に決めてください。江東区の案内も、申請の前にサービスの変更の内容と時期をケアマネとよく相談するよう書いています。

結果に納得できないときは、都道府県ごとに置かれた、介護保険の不服を扱う機関に申し立てる仕組みがあります(介護保険法 第 183 条・第 184 条)。期限は、結果を知った日の翌日から 3 か月以内です(同 第 192 条)。

ケアマネ・包括の相談 211 件でも、手続きは 3 番目

当サイトの集計で、ケアマネと地域包括支援センターの相談は 211 件。いちばん多いのは「ケアマネや施設とのやりとり」で、3 番目が「手続きや制度の使い方」でした。 デイサービス・デイケアの相談 225 件でも、「使える条件と、要介護度のこと」が「介護する側の疲れと、後ろめたさ」と同じ件数で 2 番目に並びます。区分と手続きの話は、家で続ける家族の相談のあちこちに出てきます。

江東区の案内では、申請は原則として本人か親族が行います。介護保険法 第 27 条は、居宅介護支援の事業者(ケアマネの事業所)や地域包括支援センターなどが、手続きを代わりに行える、という定めです。担当がいるなら、先にケアマネへ。まだいないなら、地域包括支援センターに聞けます。ケアマネと包括の役割の違いは在宅介護を続けるか迷ったら、ケアマネと地域包括支援センターに聞くこと 5 つに書きました。

施設も考え始めたら

道は 2 つあります。家で続けることも、施設を探すことも、同じ重さの選び方です。どちらを選ぶかは、読む人とご家族が決めること。 要介護度によって使える施設が変わるので、区分変更の結果は施設を考えるときの材料にもなります。施設の種類と使える要介護度は特養・老健・有料老人ホーム・サ高住の違いに、費用の仕組みは介護施設の費用の仕組みに書きました。

よくある質問

区分変更の結果が出るまで、何日くらいかかりますか
法律は、申請のあった日から 30 日以内に結果を出すよう定めています(介護保険法 第 27 条)。ただ、厚生労働省が公表した令和 6 年度の申請分では、申請から二次判定までの全国平均が 39.9 日で、30 日以内に収まったのは 22.8% でした。ひと月あまりかかると考えて、サービスの組み方をケアマネジャーと決めておくと慌てずに済みます。
申請は家族が出せますか
出せます。江東区の案内では、申請は原則として本人か親族が行うとしています。介護保険法は、居宅介護支援の事業者(ケアマネの事業所)や地域包括支援センターなどが、手続きを代わりに行える、という定めです。担当のケアマネジャーがいるなら、先に相談するのが早道です。
区分変更を申請すれば、要介護度は上がりますか
上がるとは限りません。要介護度は、認定調査と主治医の意見書をもとに、介護の手間の量で判定されます。厚生労働省は、病気の重さと要介護度の高さは必ずしも一致しないと説明しています。判定の結果、今と同じ区分のままのこともある。
次の更新が近いときは、区分変更と更新のどちらを出せばよいですか
更新の申請は、有効期間が終わる日の 60 日前からできます。介護保険法施行規則は、この 60 日の間に区分変更を申請し、区分を変える必要がないと判定されたときは、更新の申請として扱うと定めています。どちらを出すかは、満了日までの日数と今のサービスの足りなさで決まるので、担当のケアマネジャーか市区町村の窓口で確かめてください。
この件数はどこまで確かですか
補正後の値です。話題ごとに無作為で 30 件を抜き、「投稿者が自分の介護について、その話題を書いた相談か」を 1 件ずつ判定し、その割合で直しました。要介護認定と区分変更の話題で当たっていた割合は約 62% です。判定は AI で 2 系統に分けて突き合わせ、一致した件だけを使いました。

出典・確認日

  • e-Gov 法令検索「介護保険法」(平成九年法律第百二十三号)第 27 条〜第 30 条・第 183 条・第 184 条・第 192 条(第 29 条: 介護の必要の程度が今の区分以外に当たると認めるとき、区分の変更の認定を申請できる。手続きは第 27 条を準用。第 27 条: 市町村の職員が面接して心身の状況と置かれている環境を調べる(2 項)、主治の医師に意見を求める(3 項)、認定は申請のあった日にさかのぼって効力を生じる(8 項)、処分は申請のあった日から 30 日以内(特別な理由があれば見込み期間と理由を通知して延期できる)(11 項)。第 28 条: 認定には有効期間がある。第 183 条・第 184 条・第 192 条: 認定に不服があれば都道府県に置かれた機関に申し立てられ、期限は処分を知った日の翌日から 3 か月以内(2026-09-27 確認)。第 30 条: 介護の必要の程度が低下したことにより今の区分以外の区分に該当するに至ったと市町村が認めるときは、市町村が区分の変更の認定をできる(2026-09-27 確認))
  • e-Gov 法令検索「介護保険法施行規則」(平成十一年厚生省令第三十六号)第 38 条〜第 42 条(第 42 条: 区分変更の申請書に「心身の状況の変化その他の当該申請を行う原因となった事由」と主治の医師の氏名などを書く。有効期間の満了の 60 日前から満了日までに区分変更を申請し、区分の変更が必要ないと認められたときは、更新の申請とみなして更新認定を行う(4 項)。第 38 条: 新規の有効期間は原則 6 か月(3〜12 か月の範囲あり)。第 39 条: 更新の申請は満了の 60 日前から。第 41 条: 更新の有効期間は原則 12 か月(3〜36 か月、区分が同じなら 48 か月まで)(2026-09-27 確認))
  • 厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」(要介護認定は介護サービスの必要度を判断するもので、病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合がある。判定はコンピュータによる一次判定と、保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定の二段階。要介護認定等基準時間は実際に家庭で行われる介護時間とは異なる(2026-09-27 確認))
  • 厚生労働省「認定調査員テキスト2009改訂版(令和6年4月改訂)」(基本調査は 74 項目。介護者が不在の日は避ける。本人と介護者の双方から聞き取り、必要なら個別に聞き取る時間を設ける。日頃の状況と違うときは概ね過去 1 週間のより頻回な状況で選ぶ(行動の項目は概ね過去 1 か月の頻度)。「ときどき」「頻繁に」ではなく「週に 2、3 回」のように数量で頻度を書く(2026-09-27 確認))
  • 厚生労働省 要介護認定の申請から判定までの期間の公表(令和 6 年度申請分)(令和 6 年 4 月〜令和 7 年 3 月に申請のあった新規・更新・区分変更をまとめた集計。申請日から二次判定日までの全国平均は 39.9 日、30 日以内に収まった割合は 22.8%。調査の依頼から実施までの平均は 11.1 日、主治医意見書の依頼から入手までの平均は 17.9 日。外来受診の時期と意見書の依頼が合わないと、意見書に日数がかかることがある(令和 7 年 3 月 31 日の事務連絡)(2026-09-27 確認))
  • 江東区「要介護・要支援認定の申請について(区分変更申請)」(心身の状態が著しく変化した場合、認定有効期間内でも更新を待たずに区分変更申請ができる。サービス利用中は申請前に担当ケアマネジャーと相談。居宅介護支援事業者などが提出を代行できる。申請は原則として本人・親族。要支援の人は要介護認定申請(新規)の扱いになる(2026-09-27 確認。手続きの細部は市区町村で違う))
  • 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「介護保険の解説 サービスにかかる利用料」(特定入所者介護サービス費(補足給付)。負担限度額の表は「介護老人福祉施設、短期入所生活介護」「介護老人保健施設、介護医療院、短期入所療養介護」について示されている。利用には市区町村での負担限度額認定が要る。居宅サービスは利用できる量(支給限度額)が要介護度別に決まっていて、超えた分は全額自己負担(2026-09-27 確認))
  • このサイトの数え方(集計方法と限界)(当サイトの集計。母集団の定義、補正の方法、この方法で分かっていないこと)