介護の分かれ道

デイサービスやショートを本人が嫌がるとき、ケアマネと相談できること 5 つ

公開 ・ 介護の分かれ道 編集部

デイサービス・デイケアの相談 225 件。「本人が嫌がる。どう話せばよいか」は 10 項目中 5 番目
  1. 1体調や病気、薬のこと
  2. 2介護する側の疲れと、後ろめたさ
  3. 2使える条件と、要介護度のこと
  4. 4ケアマネや施設とのやりとり
  5. 5本人が嫌がる。どう話せばよいかこの記事の話題
  6. 6家族やきょうだいとの分担
  7. 7費用やお金のこと
  8. 8手続きや制度の使い方
  9. 9施設の種類と、どこを選ぶか
  10. 9症状や行動に、どう対応するか

件数は補正後の値。並びは順位だけで、差の大きさは示していません。同じ番号の項目は同じ件数です。数え方はこのサイトの数え方。

この記事は、親にデイサービスやショートステイを使ってほしいのに、本人が行きたがらずに困っている家族に向けたものです。先に結論を書きます。嫌がる理由を書き出して担当のケアマネジャーに渡すと、曜日・回数・事業所・デイの種類のどれを変えるかを、一緒に考えてもらえます。本人に内緒で連れて行く方法や、うまく言いくるめる言い方は書きません。厚生労働省のガイドラインが、本人の意思の尊重から始めるよう求めているからです。 数字は、当サイトが 188 日分の家族の介護相談を数えたものと、厚生労働省の資料。2026 年 9 月時点の内容です。

デイの相談 225 件で、「本人が嫌がる」は 10 項目の 5 番目

当サイトの集計で、デイサービス・デイケアの相談は 225 件でした。悩みを多い順に並べると、「本人が嫌がる。どう話せばよいか」は 10 項目のうち 5 番目です。 上にあるのは、1 番目の「体調や病気、薬のこと」、同じ件数で 2 番目に並ぶ「介護する側の疲れと、後ろめたさ」「使える条件と、要介護度のこと」、4 番目の「ケアマネや施設とのやりとり」です。

並びの中ほど。嫌がる悩みだけが飛び抜けているわけではありません。体調のこと、使える条件のこと、家族の疲れと並んで出てくる悩みの 1 つです。 話題ごとの並びはデイサービス・デイケアの話題に置きました。

ショート・ヘルパー・認知症の相談でも、嫌がる悩みは 3〜6 番目

同じ悩みは、ほかの在宅サービスの相談にも出てきます。

相談の話題件数(補正後)「本人が嫌がる」の順位
デイサービス・デイケア225 件10 項目中 5 番目
ショートステイ54 件7 項目中 4 番目
ヘルパー・訪問看護89 件8 項目中 3 番目
認知症の症状と接し方296 件11 項目中 6 番目

4 つとも、いちばん多いのは「体調や病気、薬のこと」でした。「本人が嫌がる」はどの話題でも上位 2 つに入っていません。4 つの中でいちばん上の順位だったのは、家に人が来るヘルパー・訪問看護(3 番目)です。

通う先でも、泊まる先でも、家に来てもらうときでも、嫌がる相談は出ています。だから「デイという場所が嫌」と決めつけずに、何が嫌なのかを分けて考えるほうが、ケアマネと話を進めやすい。 並びはショートステイの話題とヘルパー・訪問看護の話題にも載せました。

2018 年の厚労省ガイドラインは、本人の意思の尊重から始まる

厚生労働省は 2018 年(平成 30 年)6 月に「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」を出しています。対象は認知症の人で、診断を受けていなくても、認知機能の低下が疑われ、意思決定の力が十分でない人も含みます。 支援する人として想定されているのは、家族、ケアマネジャー、介護サービス事業所の職員など。冒頭には、自分で意思を決めて表明し、それが尊重されることの大切さは、認知症の人も同じだと書かれています。

デイやショートを嫌がる場面に関わるのは、次のところです。

  • 本人への支援は、本人の意思の尊重に基づいて行う。本人が示した意思は、ほかの人を害する場合や、本人に見過ごせない重大な影響が出る場合でない限り、尊重される
  • 時期を急がせない。疲れている時を避ける。本人を大勢で囲まない
  • 意思は時間や置かれた状況で変わりうるので、最初に示された意思に縛られず、そのつど確かめる
  • 実際に経験してみると意思が変わることがあり、本人に無理のない経験を提案するのが有効な場合がある(例として、ショートステイの体験利用が挙がっている)

「行かない」は、本人の意思です。嫌だという答えも、尊重される側に入ります。ガイドラインの考え方に沿うと、そのうえで急がせず、無理のない形を探していくことになります。

ガイドラインは、本人と家族の考えが食い違うことも想定しています。そのときは主に専門職や行政の職員が、家族の悩みや食い違いの理由を確かめるところから。そのうえで使えるサービスを調べ、それを使っても本人の意思を尊重できないかを考えることになっている。家族が不安を抱かないよう支える、とも書かれています。家族だけで答えを出さなくてよい。

ケアマネに渡す前に書き出す問い 5 つ

全部埋めなくてかまいません。分からないところは「分からない」と書けば足ります。紙 1 枚にしてケアマネに渡すと、次の話し合いがそこから始められます。

1. 嫌なのは、出かけることか、そこで過ごすことか

朝の支度や車に乗るのが嫌なのか。着いてからの時間が嫌なのか。前者なら送迎や時間の組み方、後者なら事業所や種類の話になります。変えるところが違う。

2. 嫌がるのは、どの曜日の、どの時間か

毎回なのか、特定の日だけなのか。ほかの予定がある日や、前の晩によく眠れなかった日だけ、ということもある。ガイドラインにも、疲れている時を避けるという注意があります。

3. 本人は、どう過ごしたいと言っているか

ガイドラインは、「外出しますか」ではなく「今どんなことをしたいですか」のような開かれた質問で、本人が何を望むかを聞くよう書いています。 返ってきた言葉は、そのままケアマネに渡します。行き先を選ぶための材料で、うなずかせるための質問ではありません。

4. 誰が、どんな場で話したか

家族がそろった席でデイの話をしたら、急に機嫌が悪くなった。そんなことがあれば書いておきます。ガイドラインは、本人を大勢で囲むと圧倒され、安心して決められなくなることがあると注意しています。

5. 家族は、いつ、どれだけ休みたいか

家族の事情も書いてよい。デイの目的には家族の介護の負担を軽くすることが入っていて、ショートステイを使う条件の例には、家族の病気・冠婚葬祭・出張、体と心の負担の軽減が挙がっています。 週に何時間あれば持つのか。月に何泊あれば休めるのか。数で書くと、組み方を相談しやすくなります。

答えで変わる、ケアマネと相談できること 5 つ

ケアプランは、どのサービスを、どの事業所で、いつ、どれだけ使うかを決める計画です(厚生労働省の解説)。曜日や回数、事業所、デイの種類は、どれもケアプランの中身。担当と一緒に変えられます。

相談できることこんな答えのとき確かめる先
1. 曜日・回数・時間を変える特定の日や時間だけ嫌がる。長く過ごすのがつらそうケアマネ。デイの費用は所要時間ごとに決まっている
2. 事業所を変えるそこで過ごす時間が嫌。雰囲気や人が合わないケアマネ。候補は介護サービス情報公表システムで下見できる
3. デイの種類を変える大勢が苦手。体を動かすことなら行く。認知症と言われているケアマネ。4 種類の違いは下の表
4. 試しに使う・見学する知らない場所だから嫌と言うが、試すだけならよいと本人が言うケアマネを通して事業所に。受けるかどうかは事業所で違う
5. 家族が休む手立てを増やす本人は行かないが、家族の疲れが強いケアマネ。担当がいなければ地域包括支援センター

介護サービス情報公表システムでは、全国約 21 万か所の事業所について、営業時間・定休日・サービスの特色・写真・空き人数・利用者の特色などを見られます。家族が先に候補を見ておくと、ケアマネとの話が早い。 ケアマネジャーの仕事は、特定のサービスや事業者に偏らないよう、公正中立に行うことになっています。事業所を変えたいと言うのは、遠慮しなくてかまいません。

デイの主な種類は 4 つ。定員 19 人と、認知症の専門で分かれる

「デイ」とひとまとめに呼ばれがちですが、介護保険の通うサービスは中身が分かれています。今のデイが合わないとき、種類を変える手があります。

通所介護(デイサービス)地域密着型通所介護通所リハビリ(デイケア)認知症対応型通所介護
通う先通所介護の施設地域密着型通所介護の施設老健・病院・診療所などデイサービスセンターやグループホームなど
利用定員19 人以上19 人未満(解説に記載なし)(解説に記載なし)
中心になるもの食事・入浴などの支援、機能訓練食事・入浴などの支援、機能訓練心身機能の維持回復に向けたリハビリ認知症の人を対象にした専門的なケア
要支援 1・2 の人使えない使えない使える(介護予防)使える(介護予防)

出典は、厚生労働省の介護サービス情報公表システムの各サービスの解説です(2026 年 9 月時点)。どれも送迎の費用が利用料に含まれています。 このほかに、常に看護師の観察が要る重度の人や、がん末期の人を対象にした療養通所介護もあります。 近くにどの種類があり、空きがあるかは地域で違う。ケアマネに候補を挙げてもらうときに、確かめてください。

家族の疲れは、デイの相談で上位 3 つに入る

デイの相談では、「介護する側の疲れと、後ろめたさ」が上位 3 つに入り、「本人が嫌がる」より上でした(「使える条件と、要介護度のこと」と同じ件数で 2 番目に並んでいます)。認知症の症状と接し方の相談 296 件でも、上位 3 つに入っています。

本人が嫌がることと、家族が疲れていることは、別々に相談してかまいません。本人がデイに行かない日が続いても、家族の休みはヘルパーやショートの組み方で作れることがあります。 介護保険でショートステイを続けて使えるのは 30 日まで。どれをどれだけ増やせるかは、ケアマネと一緒に決めます。

嫌がり方が急に強くなった、夜に眠れていない、体調が悪そう。そうした変化は、サービスの話とは別に、主治医に伝えてください。医療の判断は主治医の役目です。この記事では扱いません。

施設も考え始めたら

道は 2 つあります。家で続けることも、施設を探すことも、同じ重さの選び方です。どちらを選ぶかは、本人とご家族が決めることです。 家で続けるときに担当へ聞くことは在宅介護を続けるか迷ったらに、施設の種類は特養・老健・有料老人ホーム・サ高住の違いに書きました。 費用の仕組みは介護施設の費用の仕組みにあります。

よくある質問

本人に言わずに申し込んで、当日連れて行ってもいいですか
この記事では勧めません。厚生労働省の意思決定支援ガイドラインは、本人への支援は本人の意思の尊重に基づいて行い、決めるのに要る情報を、本人の力に合わせて分かるように説明するよう求めています。言い出しにくいときは、どう伝えるかも含めてケアマネジャーに相談してください。
何回嫌がったら、あきらめたほうがいいですか
回数の決まりはありません。ガイドラインは、本人が示した意思は、ほかの人を害する場合や本人に見過ごせない重大な影響が出る場合でない限り尊重されるとしています。同時に、意思は時間や状況で変わりうるので、最初の答えに縛られず確かめ直すよう書いています。家での暮らしが立ち行かなくなりそうなときは、ケアマネや事業所と集まって話し合う場(サービス担当者会議など)で相談できます。
デイの事業所を変えたいと言うと、ケアマネに悪い気がします
言ってかまいません。ケアプランは、どのサービスを、どの事業所で、いつ、どれだけ使うかを決める計画です。ケアマネジャーは本人や家族の希望を考えて作ることになっていて、特定の事業者に偏らないよう公正中立に行うとされています。担当に言いにくいときは、地域包括支援センターにも相談できます。
ショートステイを嫌がりますが、家族が休みたいです
家族が休むことは、ショートステイの目的の 1 つです。厚生労働省の解説は、使う人の条件の例に、家族の病気・冠婚葬祭・出張と、家族の体と心の負担を軽くすることを挙げています。ガイドラインには、体験利用のような実際の経験で本人の意思が変わることがある、という記述もあります。ただし試すのは、本人が「試してみてもいい」と言ったときだけにしてください。1 泊だけ試せるかどうかは事業所で違うので、ケアマネに聞けます。本人が断り続けるときは、ヘルパーの回数を増やすなど、家族の休みをほかの組み方で作れないかを、ケアマネと一緒に考えます。
この件数はどこまで確かですか
補正後の値です。話題ごとに無作為で 30 件を抜き、「投稿者が自分の介護について、その話題を書いた相談か」を 1 件ずつ判定し、その割合で直しました。デイサービス・デイケアの話題で当たっていた割合は約 72%、ショートステイは約 46% です。悩みの並びは件数の多い順で、近い順位どうしの差は小さいことがあります。判定は AI で 2 系統に分けて突き合わせ、一致した件だけを使いました。

出典・確認日