介護の分かれ道

仕事と介護の両立で使える制度 6 つ。介護休業・介護休暇と相談できる窓口

公開 ・ 介護の分かれ道 編集部

育児・介護休業法で、介護をしながら働く人が使える制度 6 つ

休む

  • 介護休業対象家族 1 人につき 3 回まで、通算 93 日
  • 介護休暇1 年に 5 日(2 人以上なら 10 日)。時間単位でも

働き方を変える

  • 所定外労働の制限残業の免除。1 回 1 か月〜1 年
  • 時間外労働の制限月 24 時間・年 150 時間まで
  • 深夜業の制限午後 10 時〜午前 5 時に働かない。1 回 1〜6 か月
  • 短時間勤務等の措置時短・フレックス・時差出勤など。3 年以上で 2 回以上

2026 年 9 月時点。育児・介護休業法の条文と、厚生労働省の介護休業制度特設サイトによります。会社の就業規則で、これより手厚い制度を置いていることもあります。 介護休暇が有給か無給かは会社の規定で決まります。法律や労使協定で対象から外れる働き方(勤続 1 年未満など)があるので、自分が使えるかは会社の人事担当に確かめてください。

この記事は、働きながら親の介護をしていて、休み方や働き方を変えられないか考え始めた人に向けたものです。先に結論を書きます。会社に「家族の介護が始まった」と伝えると、会社はあなたに制度を個別に知らせ、使うかどうかの意向を聞くことになっています。2025 年 4 月からの決まりです。 働く人が申し出て使える制度は、育児・介護休業法に 6 つあります(厚生労働省の特設サイトの分け方)。辞めるか続けるかを決める前に、どれが自分に当てはまるかを知っておくと、選べる道が増えます。内容は 2026 年 9 月時点で、出典は記事の末尾に置きました。

仕事との両立の相談は 36 件。悩みの型の並びは、まだ出せない

当サイトの集計で、仕事と介護の両立の相談は 36 件でした。ケアマネと地域包括支援センターの相談は 211 件。比べると少ない数です。 無作為に抜いて確かめた相談のうち、本当にこの話題だった割合は約 58%。件数はその割合で直した値です。

この話題は、何に困っているかの並びを出していません。悩みの型ごとに分けると、どの型も、並べて出せる件数に届かなかったからです。 少ない数で順位を付けると、わずかな違いで上下が入れ替わります。だからこの記事の柱は、相談の数ではなく、法律と厚生労働省の資料です。数え方はこのサイトの数え方に、件数は仕事と介護の両立の話題に置きました。

休む制度は 2 つ。介護休業は通算 93 日、介護休暇は年 5 日

どちらも、2 週間以上にわたって常時の介護が要る家族のための制度です。対象の家族は、配偶者・父母・子・祖父母・兄弟姉妹・孫・配偶者の父母。 育児・介護休業法は、会社はこの申し出を原則として拒めないと定めています。違いは、休む長さと、申し出の仕方です。

介護休業介護休暇
向いている休み方まとまった期間休む通院の付添いや手続きで、1 日や数時間だけ休む
日数対象家族 1 人につき 3 回まで、通算 93 日1 年に 5 日(対象家族が 2 人以上なら 10 日)。1 日単位か時間単位
申し出休み始める日の 2 週間前までに、書面などで口頭でもよい
休み中のお金雇用保険から介護休業給付金(原則、賃金日額の 67%)有給か無給かは会社の規定による

厚生労働省の特設サイトは、介護休業の期間を「自分が介護を行うのではなく、仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間」と書いています。 ケアマネや包括への相談、サービスの手配、家族の分担を決めること。その時間に使う休みです。93 日を 3 回に分けられるので、始まりの手配と、状態が変わったときの組み直しに取っておく使い方もできます。介護休暇はケアマネジャーとの短い打合せにも使えると、同じサイトに書かれています。時間単位で取れるので、1 時間だけ抜ける使い方もできます。

働き方を変える制度 4 つ。残業の免除は 1 か月から 1 年まで

休まない方法もあります。働く時間を変える制度です。デイの送迎や夕方の食事など、決まった時間に家にいたい人向けです。

制度中身期間・回数
所定外労働の制限会社の決めた労働時間を超えて働かない(残業の免除)1 回 1 か月以上 1 年以内。回数の制限なし
時間外労働の制限法定の時間を超える労働を、月 24 時間・年 150 時間までにする1 回 1 か月以上 1 年以内
深夜業の制限午後 10 時から午前 5 時まで働かない1 回 1 か月以上 6 か月以内
短時間勤務等の措置時短・フレックスタイム・時差出勤・介護サービス費用の助成などのうち、会社が設けたもの利用を始めてから連続 3 年以上の間に 2 回以上

上の 3 つの制限は、始めたい日の 1 か月前までに会社へ請求します。事業の正常な運営を妨げるときは、会社は断れます。 短時間勤務等の措置は、会社がどれを設けるかを選びます。自分の会社にどの形があるかは、就業規則で確かめてください。勤続 1 年未満の人などは、制度によって対象から外れることがあります。深夜業の制限は、深夜に介護できる同居の家族がいる人なども対象外です。

2025 年 4 月から、申し出れば会社が制度を個別に知らせる決まりに

育児・介護休業法の改正で、2025 年 4 月 1 日から次のことが変わりました。厚生労働省のリーフレットと Q&A で確かめた中身です。

  • 介護に直面したと申し出た人への個別の周知と意向確認(義務)。会社は、制度の中身、申し出る先、介護休業給付金のことを知らせ、使うかどうかの意向を確かめます。面談か書面などで行います
  • 40 歳になる年度などでの情報提供(義務)。介護に直面する前の人にも、同じ 3 つのことを知らせます
  • 相談窓口や研修などの整備(義務)。研修、相談窓口、取得の事例の紹介、利用を進める方針の周知のうち、1 つ以上
  • 介護休暇の勤続 6 か月未満の除外をなくした。入社してすぐの人も、労使協定で外されなくなりました。週 2 日以下で働く人は、今も外されることがあります
  • 介護のためのテレワーク(努力義務)。会社は、介護する人が在宅勤務などを選べるよう努めることになりました。内容や頻度の基準は法令にありません

介護に直面したことの申し出は、書面に限られていません。口頭でもかまいません。会社が特に方法を決めていなければ口で伝えるだけでよいと、Q&A に書かれています。 厚生労働省の Q&A は、取得の前例がないことをことさらに強調するなど、使うのを控えさせるような周知と意向確認は認められないとしています。

会社に伝える前に書き出す 5 項目

会社との面談は、この 5 つを書いてから臨むと話が早く進みます。全部でなくてよい。分かるものだけで十分です。

1. 親の今の状態

制度の条件は「2 週間以上にわたって常時の介護が要るか」です。歩く、食べる、トイレ、薬、物忘れのうち、どこに手助けが要るかを書きます。要介護認定の結果があれば、その区分も。 まだ認定を受けていなくても、書いておく中身は同じです。

2. 休みが要るのは、まとまった期間か、数時間か

退院のあとのサービスの手配が続くなら、まとまった休み。通院の付添いや役所の手続きなら数時間。休み方で、介護休業と介護休暇のどちらを先に使うかが分かれます。

3. 毎日、何時に家にいる必要があるか

たとえば、デイの送り出しが朝 8 時で、迎えが夕方 5 時。夜中に起きることが多い。こうして時間で書いておくと、残業の免除か、時差出勤か、深夜の制限かが選びやすくなります。

4. 自分の働き方の条件

正社員か有期の契約か、週に何日働くか、勤続何年か。制度によっては、勤続 1 年未満や週 2 日以下の人が、労使協定や法律の定めで外れることがあります。先に分かっていれば、面談で聞き漏らしません。

5. 会社の制度と、申し出る先

就業規則に介護の項目があるか。介護休暇が有給か。申し出る先は人事か上司か。分からなければ、面談で聞く項目としてそのまま書いておきます。

答えで、先に見る制度が変わる

答え先に見る制度
介護が始まったばかりで、手配が何もできていない介護休業(体制を整える期間として)。あわせて包括に相談
通院の付添いや打合せで、ときどき抜けたい介護休暇(時間単位)
夕方に家へ戻りたい所定外労働の制限(残業の免除)、短時間勤務・時差出勤
夜勤がある深夜業の制限
通勤の時間がいちばんの負担テレワーク(会社の努力義務。あるかどうかは会社に聞く)

組み合わせてもよい。介護休業を取ったあとに、短時間勤務へ移る使い方もあります。テレワークだけは会社の努力義務で、ほかは育児・介護休業法で会社が原則として応じる、または設けることになっている制度です。

介護の段取りは包括とケアマネへ。ケアマネ・包括の相談 211 件

会社の制度は、介護そのものを代わってはくれません。サービスを組むのは、地域包括支援センターとケアマネジャーです。 厚生労働省の特設サイトも、介護の相談は地域包括支援センター、介護保険の手続きは市区町村の担当課を窓口に挙げています。介護保険の申請は早めに行い、認定の前から調整を始めるよう書かれています。

当サイトの集計で、ケアマネと包括の相談 211 件のうち、いちばん多いのは「ケアマネや施設とのやりとり」でした。デイ・ショートステイの相談では、いちばん多いのが「体調や病気、薬のこと」です。 体調のことは通院に、担当とのやりとりは打合せにつながります。どちらも介護休暇の使い道です。時間単位で取れば、打合せの 1 時間だけ抜けられます。

仕事のことも話してよい。働いている曜日と時間帯を、包括やケアマネに伝えておきます。ケアプランは本人の状態と、置かれている環境に応じて組まれます。家族が日中いないことも、その環境の一部です。 厚生労働省の地域包括ケアのページには、市町村と地域包括支援センター向けの「家族介護者の就労継続支援に関わる取組ポイント」も載っています。取り組みの中身は地域で違います。聞くことの書き出し方はケアマネと地域包括支援センターに聞くこと 5 つにまとめました。

会社と話がこじれたら。労働局とハローワーク

介護休業などを申し出たこと、取ったことを理由に、解雇・雇止め・降格などの不利益な扱いをすることは、法律で禁じられています。 「うちには制度がないから辞めてほしい」と言われた。要介護 2 以上でない、医師の診断書がない、と断られた。厚生労働省の特設サイトは、こうしたときは都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談するよう書いています。

給付は別の窓口です。介護休業給付金のことはハローワークが受け持ちます。給付の条件と金額は、休業に入る前にハローワークで確かめてください。雇用保険に入っていた期間などの条件があり、上限額は毎年 8 月 1 日に変わります。

施設も考え始めたら

道は 2 つです。家で続けることも、施設を探すことも、同じ重さの選び方です。働き方を変えても手が足りないと感じたら、施設の種類を先に知っておくと、選べる先が見えます。 施設の違いは特養・老健・有料老人ホーム・サ高住の違いに、費用の仕組みは介護施設の費用の仕組みに書きました。 どちらの道でも、会社に伝えて制度の説明を受けておくと、休み方の選択肢を持ったまま考えられます。

よくある質問

親が要介護認定を受けていないと、介護休業は取れませんか
法律の条件は「2 週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」にある家族を介護することです。厚生労働省の特設サイトは、「要介護 2 以上ではない」「医師の診断書がない」ことを理由に制度を使わせてもらえなかったときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談するよう書いています。会社が状態をどう判断するかは、まず人事担当に聞いてください。
介護休暇は給料が出ますか
会社の規定で決まります。厚生労働省の特設サイトは、介護休暇は年次有給休暇とは別に取らせなければならず、有給か無給かは会社の規定によると書いています。就業規則か人事担当で確かめてください。
パートや契約社員でも使えますか
使えます。ただ条件があります。介護休業は、有期の契約の人は、休業を始める日から 93 日を過ぎた日から 6 か月の間に契約が終わり更新されないことが明らかでなければ申し出られます。介護休業は、労使協定で勤続 1 年未満の人などが外されていることもあります。介護休暇は、労使協定で外せるのが週 2 日以下で働く人だけになり、2025 年 4 月から勤続 6 か月未満の人を外す仕組みはなくなりました。
介護休業中の収入はどうなりますか
雇用保険に入っていて条件を満たす人には、ハローワークから介護休業給付金が出ます。額は原則として、休業を始めたときの賃金日額×支給日数×67%。同じ家族について 93 日を限度に 3 回までです。申請は原則として会社を通して出します。上限額は毎年 8 月 1 日に変わるので、ハローワークで確かめてください。
この件数はどこまで確かですか
補正後の値です。話題ごとに無作為で 30 件を抜き、「投稿者が自分の介護について、その話題を書いた相談か」を 1 件ずつ判定し、その割合で直しました。仕事と介護の両立の話題で当たっていた割合は約 58% です。件数そのものが少ないので、悩みの型ごとの並びは出していません。判定は AI で 2 系統に分けて突き合わせ、一致した件だけを使いました。

出典・確認日

  • e-Gov 法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(育児・介護休業法)(第 11 条 介護休業は対象家族 1 人につき 3 回・通算 93 日まで。第 12 条 事業主は申出を拒めない。第 16 条の 5 介護休暇は 1 年度 5 労働日(対象家族 2 人以上は 10 労働日)、1 日未満の単位でも取れる。第 16 条の 9 所定外労働の制限(1 か月以上 1 年以内、開始の 1 か月前までに請求)。第 18 条 時間外労働の制限(月 24 時間・年 150 時間)。第 20 条 深夜業の制限(午後 10 時〜午前 5 時、1 か月以上 6 か月以内)。第 21 条第 4 項 介護に直面した旨の申出をした労働者への個別周知・意向確認、第 5 項 40 歳の年度などでの情報提供。第 23 条第 3 項 所定労働時間の短縮等の措置(連続 3 年以上)。第 24 条第 4 項 在宅勤務等の努力義務。第 16 条ほか 不利益取扱いの禁止(2026-09-27 確認。e-Gov の版は 2025-10-01 施行分まで反映))
  • 厚生労働省 介護休業制度特設サイト「介護休業」(要介護状態は「2 週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」。対象家族は配偶者・父母・子・祖父母・兄弟姉妹・孫・配偶者の父母。1 人につき 3 回・通算 93 日。休業開始予定日の 2 週間前までに書面等で申出。有期雇用は 93 日経過日から 6 か月以内に契約満了・不更新が明らかでないこと。休業期間は「自分が介護を行うのではなく、仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間」。休業中は介護休業給付金(休業開始時賃金日額の 67%)(2026-09-27 確認))
  • 厚生労働省 介護休業制度特設サイト「介護休暇」(年次有給休暇とは別。有給か無給かは会社の規定による。1 年間に 5 日(対象家族 2 人以上は 10 日)。1 日または時間単位。通院の付添い・介護サービスの手続代行・ケアマネジャーとの短時間の打合せにも使える。口頭での申出も可。2025 年 4 月 1 日から継続雇用 6 か月未満を労使協定で除外する要件は廃止(2026-09-27 確認))
  • 厚生労働省 介護休業制度特設サイト「短時間勤務等の措置」(事業主は短時間勤務・フレックスタイム・時差出勤・介護サービス費用の助成などのうち 1 つ以上を設ける。対象家族 1 人につき、利用開始から連続する 3 年以上の期間で 2 回以上(2026-09-27 確認))
  • 厚生労働省 リーフレット「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(令和 6 年 11 月作成・12 月改訂)(令和 7 年 4 月 1 日施行: 介護休暇の継続雇用 6 か月未満除外の廃止、介護離職防止のための雇用環境整備(研修・相談窓口など 1 つ以上)、介護に直面した旨の申出をした労働者への個別周知・意向確認(制度の内容・申出先・介護休業給付金。面談・書面など)、40 歳に達する年度などでの情報提供、介護のためのテレワークの努力義務。取得・利用を控えさせるような周知と意向確認は認められない(2026-09-27 確認))
  • 厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A」(令和 7 年 9 月 24 日時点)(A4-3 介護に直面した旨の申出は、事業主に特段の定めがなければ口頭でも可。A4-7 取得や利用の前例がないことをことさらに強調することは、控えさせることに当たる。A4-8 40 歳の情報提供の時期と内容。A2-31 介護のテレワークの努力義務に内容・頻度の基準はない(2026-09-27 確認))
  • ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付(介護休業給付)」(雇用保険の被保険者で、休業開始前 2 年間に賃金支払基礎日数 11 日以上(または 80 時間以上)の完全月が 12 か月以上ある人。支給額は原則 休業開始時賃金日額×支給日数×67%。同じ家族について 93 日を限度に 3 回まで。支給申請は原則事業主を経由(本人の申請も可)。上限額は毎年 8 月 1 日に変わる(2026-09-27 確認))
  • 厚生労働省 介護休業制度特設サイト「その他・相談窓口」(介護休業等を理由とする解雇・雇止め・降格などは禁止。相談先は、法と両立支援制度は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)、介護休業給付金はハローワーク、介護の相談は地域包括支援センター、介護保険の手続きは市区町村の介護保険担当課(2026-09-27 確認))
  • 厚生労働省 介護休業制度特設サイト「仕事と介護の両立ポイント」(職場に介護に直面したことを伝え、制度の説明を受ける。「制度はないから退職するように言われた」「要介護 2 以上ではないこと、医師の診断書がないことから制度を利用させてもらえなかった」ときは都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ。介護保険の申請は早めに行い、認定前から調整を始める(2026-09-27 確認))
  • 厚生労働省「地域包括ケアシステム」2. 地域包括支援センターについて(地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行う中核的な機関として市町村が設置。家族介護者支援マニュアルも掲載(2026-09-27 確認))
  • 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「居宅介護支援」(ケアマネジャーがケアプランを作成し、事業者や関係機関との連絡・調整を行う。特定のサービスや事業者に偏らないよう公正中立に行う。ケアプランの作成に利用者負担はない(2026-09-27 確認))
  • このサイトの数え方(集計方法と限界)(当サイトの集計。母集団の定義、補正の方法、この方法で分かっていないこと)